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取材こぼれ話〜経営者編
身についた一流のダンディズム 堀場厚社長/堀場製作所(於:京都府京都市本社) |
スタイリストをしている知り合いから、以前こんな話を聞いたことがあります。それは、育ちのよさから身についた所作や言葉遣いの美しいモデルには、どんな美人のモデルでもかなわないところがある。所作は写真に写らないから、華やかな美人が表舞台に出やすいけれど、裏方として見ていると、所作の美しい人のほうがはるかに美しく感じられる、というものです。
堀場社長はまさしく、そういう印象を与える方でした。創業者・堀場雅夫氏のご子息でもあるサラブレット。その話し方、雰囲気、身のこなし、何をとっても一流のなかで育たれたことを、感じさせられます。お話の主流を占めたのも、一流の製品を作り続けるためには、いかに従業員に一流を経験させるかというものでした。
「僕が幼いころ、京都に丸物っていう百貨店があって、そのなかにアラスカっていうフランス料理のお店が入ってたんです。小学校の頃から、親父に連れられて、そこによく行ってね。ナイフやフォークの使い方とか、スープは音を立てて飲まないとか、そういうマナーをうるさく言われました。そういうなかから学んだことってあるんですね。でも、1回じゃ身に付かない。ある一定のピッチで行わないとね。だから、当社では年末に幹部全員を集めて、京都のホテルでタキシードを着てというパーティを、研修として行うようにしてるんです」
たしかに…。夜遅くまで泥にまみれて遊んでた。おかんの「ごはんやで〜」という言葉を聞くと、一目散に走って帰った。妹の分までおかずを食べて、おかんに「あんた、何やってんの」と怒られた。という環境では、なかなかこういう発想は浮かばないかもしれません(笑)。
でも、社長のような方は、恵まれている分、大変さもあるような気がします。
「当社は本社を東京には移しません。グローバルに企業を展開していこうとするとき、Kyotoというほうが海外からは認知度もイメージも高いんです。質が高い、一流の物を作る、それがKyotoのイメージなんですね」
京都の「一流を目指す」という風土と相まって、一流を追求しようとされる姿。そこにノウブレス・オブリージュ(選ばれたる人には、それに応じて果たすべき義務がある)を感じずにはいられませんでした。
取材終了後。「次回は理念浸透じゃなくて、ダンディズムについて、お話を聞かせください」と私。照れたように笑われた、その笑顔が印象的でした。
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取材こぼれ話〜経営者編
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