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取材こぼれ話〜経営者編
20年ねかせた日本酒をお相伴 堀場雅夫会長/堀場製作所(於:京都府京都市本社) |
経営者の取材は時間が限られているので、あまり余談が長いと、当初は少し困った気分になっていました。でも、テープ起こしをすると、ハッとするんですね。それはその余談に本音が隠されていたとか、余談の後の話に特筆すべきことがあった、というようなことが往々にしてあるからです。
堀場雅夫会長は、破天荒な印象を与える、ベンチャーの草分けとして有名な方です。ご存知の方も多いでしょう。
取材をさせていただいたお部屋は、京都らしくお香が焚きつめられ、なぜかお酒やウイスキーが置かれていました。見方によれば、隠れ家のバーという感じさえします。
取材は最初から盛り上がりを見せ、話は順調に進んでいきます。ところが、どこでどうなったのか、「20年ねかせた日本酒があるさかい、それ飲まれますか?」という流れに突入してしまいました。
いただきたいのは山々。でも、いよいよ話は佳境に入ってきているので、ここで中断されるのはイタい。私は少しためらいました。
「無理強いはしーひんけどね、おいしいよ。ま、一杯だけでも」と会長。そして、「これなんや」とニコニコ顔で目の前に差し出されたのは、琥珀色の日本酒です。
「日本酒じゃないみたいですね」「そうやろ。味も日本酒とはまたちょっと違うんや」そして、グラスに注がれ、なぜか!!乾杯。
ここで酔ってはいけないと、少しだけ口に含みました。おいしい〜ッ。色も味も紹興酒の域です。酒飲みの私は、いけない、いけないと思いながら、不覚にもクイッ〜と飲んでしまいました。会長は「うまいやろう」と得意気です。
いや、でもここで酔うわけには、ここで酔っていただくわけにはいきません。ところがこれが運のツキでした…。会長の話は理念浸透から離れ、どんどんプライベートなことに向かっていきます。私は酔ったせいか、焦ったせいか、うっすら汗が…。
でも、でもです!その後に聴けた会長のお話は、まさに理念浸透の極意でした。人の話はおもしろい。本当におもしろいものです。
まっすぐな答えをついつい求めてしまうけれど、大切なことはいかに心を開いた状態で話をすることができるか、そこなんですね。また、一見、破天荒に見える人こそ、実は繊細でナイーブだということにも、気づかされました。
気持ちを早く近づけるうえでお酒は効果的。そんなことをあらためて教えていただいたような。えっ?これって酒飲みの言い訳ですか?
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取材こぼれ話〜経営者編
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