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『ミッションマネジメントの理論と実践−経営理念の実現に向けて−』中央経済社
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4. 理念浸透が進んでいる企業の浸透方法は、これだった!
理念浸透のすべを探るべく、「理念が浸透している」と公言している、あるいは公言されている企業の経営者6名に、インタビュー調査に出向きました。2年がかりの調査です。
でも、その甲斐あって、インタビューでは今まで触れられることのなかった知見を得ることができました。それをご紹介しましょう。
既存の理念浸透方法としては、@新入社員研修で徹底、A社内に掲示する、B社長の訓話、C唱和する、というようなものが一般的です。ところが、経営者から語られた方法はまったく別のものでした。
それは、「仕事を通して行う」というものです。
適性に応じた仕事を提供したり、適切なフィードバックを行ったり、仕事のしやすい環境を作り出したりすることで、仕事をおもしろいと思ってもらえること、これが理念浸透の要になるというのです。
堀場製作所の堀場雅夫氏はこんなことをおっしゃいました。
「好きほどタチの悪いものはない。イヤなことしてる人は疲れるのに、好きなことしてる人は時間忘れてやりよるでしょ。これからは、こういう好きなことをする人を最前線に出して、それを競争力にしていかんとあかん」
「好きほどタチの悪いものはない」。この表現は氏ならではの言い回しですが、今まで理念浸透が道具的にとらえられていたことに気づかされます。理念浸透とは、浸透であると同時に「共感」「共有」「分かち合い」なのです。それをいかに作り出すことができるのかと考えていけば、働く人の視点で理念浸透を考えることが大切だということが見えてきます。
理念浸透に求められること。それは仕事や会社が「好き」という感情を呼び起こすこと。実はそんな人間的なものに根づいたところからスタートすることが肝心だということを教えられました。
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