経営者にふさわしい資質をもちあわせた人物であるかどうかも重要な要素である。
ノウブレス・オブリージュという言葉がある。身分の高い人はそれに応じて果たすべき責任や義務があるという、欧米社会における道徳観である。経営者がもつべきは、このノウブレス・オブリージュであろう。
コマツの経営者が、東日本大震災直後、「災害の復旧や復興支援は、売り上げや利益に優先する」と成員に向けてメッセージを発信したそうであるが、これなどは、ノウブレス・オブリージュの好例である。
現代管理論の基礎を築いたバーナードが「組織の存続は、それを支配している道徳性の高さに比例する。すなわち、予見、長期目的、高遠な理想こそ、協働が持続する基盤なのである」 と言い、リーダーに道徳性の高 さを求めたように、倫理観と使命感を併せ持った経営者だからこそ、下の人間が、「権力」ではなく、その「人」についていくのである。そして、そのような経営者が理念を語れば、誰が言うよりも心に響くのだ。
部下は見ている。特に危機的状況に陥ったときに、どのような対応を取る人なのかということを 。そして、ついていこうと決心したり、面従腹背となったり、見切ったりす るのだ。 |