本書は、企業へ継続的に実施した10年間の調査がベースとなっています。当初は対象企業が6社ありましたが、その後インタビューをし続けるなかで、理念が浸透していると分析できなくなった企業は、調査から省くという手順を踏みました。その結果、最終的に残った2社の調査結果が元となっています。
理念浸透に関する研究は確実に前進してきてはいますが、企業を対象に、経営者から若手に至るまで調査を実施した研究は見当たりません。そのため、仮説発見型のスタイルをとっており、先行研究では触れられることのなかった、多くの新たな発見事実を導出することができたと思っています。
このように企業への調査が元となっているため、実務家には実際に職場に持ち帰っていただける、現場に即した実践的な内容となっているだけでなく、研究者には理念浸透研究の新たな視座が提供できると考えています。
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