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取材こぼれ話〜中間管理職編
「サインしてください」に調子づく |
インタビューをさせていただく際、最初に必ず、個人情報の保護を説明し、了承を得るようにしています。
特に力説する点は、「話の流れとしては要点となるんだけれど、それが外に出ると個人が特定されて困る。そのようなときは、オフレコですと言ってください。分析対象にはしますが、表には絶対出しません」ということです。
取材が終わると、もう一度確認します。「言い足りなかったこと、もしくは使ってほしくない語りはおありですか」と。
あるときの取材後。管理者の方が、少しためらいながら、おっしゃいました。「お願いがあるんです」
個人保護に関することだ。私はピンときました。「はい、なんなりとおっしゃってください」
すると、カバンから拙著『ミッションマネジメントの理論と実践』を出してこられ、「サインいただけますか」
嬉しかったですね。もう、我を忘れました。
「こんなこともあろうかと、私、実は小学生のときから、サインの練習してたんです」と思わず言うと、管理者の方も広報の方も爆笑。
さらに、調子に乗った私は「見ててくださいね。すごくサインするの早いですから」と、遠い昔の練習を発揮するかのごとく、サラサラとサインを。管理者の方も広報の方もパチパチと拍手。
管理者の方はサインを見ながら、「嬉しいなぁ。僕、先ほども言いましたように、スランプに陥った3年間ぐらい、もう闇雲に本を読み漁ったんですよ。それしか自分を支えることができなくて。でも、いろいろ本を読んでいると、優れた本もあれば、ゼンゼン使えないじゃんというような駄作も多いんですよね。その点、というと失礼かもしれませんが、先生の本は、この人、よく勉強してるなぁって感心させられるし、なおかつ使えるんですよね。ぜひミッションマネジメントの第二弾を出してくださいね」と言ってくださいました。
それから、ますます活気づいた私は、本を書くことの辛さと喜びを延々語ったのでした…。誰が取材を受けているんだか…。(-_-;)
仕事って、ちゃんとできてあたりまえという部分がありますね。だから、褒められることも、そんなに多くはない。自分としては成し遂げたと思っていても、その結果を自信なさげに振りかえることも。
そんなとき、確実なフィードバックやお褒めの言葉があれば、「あのやり方でよかったんだ」もっとがんばろう」と思える。ところが、それがないままに、日々の仕事が流れていく、流されていく。そんな状況が多いように思います。
あらためて実感する、褒められることの重要性。タイムリーな言葉って、絶大な力をもっています。
逆にいえば、言ってもらうことを待つのではなく、誰かに言葉をかけてあげることが大切だということ。だって、言葉をかけてくれた人の言動は、注意して見るようになりますからね。
仕事は自分のためであると同時に、人のお役に立つためだ、そんな喜びややる気が生まれるような言葉をかけあえることができれば、職場の雰囲気も変わるはずです。
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