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取材こぼれ話〜中間管理職編
困難を乗り越えたときに見えてくるものがある |
企業や職種を問わず、全員の方が共通して語られることがあります。
それは、「困難を乗り越えたときに、理念の内容がなんとなく理解できるようになった」というものです。
困難な出来事というのは、人によって、もちろんマチマチです。でも、どの方の事例も、一筋縄ではいかないものが大半。寝ても覚めても、そのことだけに心血を注がれたことが、お話の端々からうかがえます。
たとえば…。
フランス支店の副支店長に命じられた。フランス語の「フ」の字もわからない。なのに、出向いて間もなく支店長は「英語は使うな。フランス語でしゃべれ」と言う。おまけに、やることなすことに文句をつける。
そもそも仕事の仕方も文化も違う。それに慣れるだけでも精一杯なのに、「フランス語でしゃべれ」だと!ウチの会社も、よくこんな無茶苦茶なことをしてくれるもんだ!でも、誰に文句を言うこともできない。ここまで来たら、もうやるしかない!
「これが、おもしろおかしく(堀場製作所の理念)なんだ」ということに気づいたのは、日本に帰ってきてからのことだった。だって、そのときは、おもしろくもおかしくもなかった。やっぱり、つらかったから。
ここで教えられるのは、それがどのような経験だったのかということ以上に、それをいかに乗り越えたかということ。そして、それはいつか、その人を支える礎になるということです。
「働く意味」は、こういう「自分を信じることができる力」を、仕事をとおして身につけていくプロセスにあるような気がします。
私の大好きな一節があります。それは、藤尾秀昭さんの『小さな経営論』の一節。
努力したらかといって、人間の花はすぐに咲くものではありません。特に自分自身の人格なんて、
すぐには変わらない。十年経ったら、ちょっと薄皮を剥ぐように変わっていくんです。だから人間の
花は、「よし、やるぞ!」と決意して、三年ぐらい経ったときに「三年経っても効果がない」とやめて
しまったら駄目なんですよ。
花が咲くまで十年かかる。毎日一所懸命、人が知らないところでコツ
コツコツコツ、誤魔かさないで急がないでやっていったら、十年後に花が咲くんです。
自分を信じる力は、人目につかないところで、ただただ良心に添って努力を繰り返す、そんな地味で、ある種、みじめなところから生まれてくるのかもしれません。ただ、それだけ懸命に向き合っていたら、あるときから、「つらさ」は形を変えるような気がしますけれどね。
冬の後には春が来る。雨降って地固まる。夜明け前が一番暗い。そう、そんなときこそ自分を磨く一番のチャンスかもしれません。前を向いて、自分を信じて、やっていきたいものです。
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