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ほろ酔いだっこ2003

 
 気持ちで放射能汚染から子供を守れるか!?

放射能汚染から子供を守りたい、そのために東京から岡山へと住居を移した作家のことが、記事で取り上げられていました。

「全国の放射線濃度一覧」というサイトがあります。都道府県別に、この1週間分の濃度がグラフになって、日々更新されています。

これを見ると首をひねりたくなります。福島がダントツで高いことは言うまでもありません。でも先週の2位は山口県ですよ。4位は岐阜県。6位は鳥取県。作家が逃亡した岡山は、20位ですが、東京の11位と大差があるわけではありません。これらは週によっても変動します。

歌人・俵万智さんは「子を連れて西へ西へと逃げていく」という句を詠まれましたが、西が安全というわけでもなさそうです。もちろんこのネットの情報だって、計測器の高さが一定ではないので、信ぴょう性がどの程度かも定かではありません。

確実な情報がないなか、子供だけは守りたいという親心はよく理解できます。この子の未来のために、なんとしてでも健康な体を残してやりたい、そんな切望する想いなのでしょう。

でも、親の想念が子供の健康をつくりあげてしまうことって、ないんでしょうか?

私は、箱に入ったまま無菌状態で育ちました。3時のおやつは母が作るケーキやクッキー。市販されているものさえ、食べたことはありませんでした。

憧れは駄菓子屋さん。そこで目にする、カラフルなゼリーや、新聞紙にくるまれたお醤油のかかったお煎餅など、食べたくて食べたくて、しかたありませんでした。

好奇心いっぱいの私は、親の目を盗んで、お友達と駄菓子屋さんに行きました。それは、人生の幸福とも言うべき興奮する瞬間、ワクワクしたことをいまだに思い出せます。

だけど、それらを食べて家に帰ると、決まってお腹が痛くなるのです。それはそう言われていたからでしょう。

放射能汚染と、私の駄菓子屋さん経験を同じレベルで論じるつもりはありません。でも、共通する部分も、あるかもしれないとも思うのです。

それは「ウチの子は大丈夫。何があっても大丈夫。私はそんなに弱い子を産んではいない」そう思うこと。そして子供に言い続けること。そんなことが実は大事なんじゃないのかって。

それは自分に対しても支えになるはずなんですよね。

こんなことを言うと、「あなたは子供がいないから」とお叱りを受けるかもしれません。そうかもしれません。でも、そうでないかもしれません。

人が人を信じ切る気持ち。それは目には見えない力を授けれてくるんじゃないかって、私はそう信じています。日本の子供たち、大丈夫です、きっときっと大丈夫です。そんな言葉を私たち大人が、明るく言い続けていきたいものです。




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