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ほろ酔いだっこ2003

 
 「そのとき」より「その後」

私はインタビュー調査を研究方法の柱としています。

現在、それをもとに論文を執筆中ですが、インタビューのおもしろさは、なんといっても先行研究では言及されていない新しい発見があるということ、これに尽きます。

いつも思うのは、テープ起こしをしてから、気づきがあるということ。

取材をしているときって、お話をいかに動かしていくか、いかに本音に迫るか、そのあたりに意識がいってて、聞いているようで聞いていないところがあるんですね。

だけど、テープ起こしをして、あらためて読んだり、聴いたりすると、ええっ、こんなこと言ってられたっけ?というような発見がある。おもしろいのは、「なるほど!」と思って聞いていた内容が、分析をすると使えなかったり、その逆があったり。

なんでも同じなのかもしれません。

たとえば、人との会話。その場では、そのときの雰囲気や流れのようなものがあって、それに同調したり、巻き込まれたりしながら、話をしますよね。

だけど、時間が経って、そのときのことをどう感じるか。肯定的な感情が出ることもあれば、否定的なときもある。たとえば、そのときは楽しげに話しているんだけど、帰ってから、あぁ、イヤだと思うようなとき、あるでしょ。人の心の機微の不思議さとでもいうのでしょうか。

人間関係というのは、もしかすると、「そのとき」より「その後」の感情に支配されながら、動いていくものかもしれません。

いずれにせよ、そんな人のおもしろさを反映させた論文に仕上がるよう、しばらくは机に向かいます。涼しくなってくると、少し頭も動きますね(笑)。




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