日本文学研究の第一人者、ドナルド・キーン名誉教授が、日本国籍を取得して日本に在住することを決めたという記事を読みました。
4月にコロンビア大学の最終講義を迎えたということと、東日本大震災が重なっての決意のようですが、こういうケースを見ると、目に見えない偶然の力ってすごいと思わざるを得ません。
もし最終講義が1年前だったら、もし震災が1年後だったら、結果は変わっていたかもしれません。でも、日本を愛する彼には、アメリカでの最終講義と、日本での震災が、ちゃんと重なるように、できているんですね。
何をしていても、どこにいても、なるものはなってしまう。それは一見偶然のようで、でも実は必然として起きてしまう。
氏の論じる「もののあはれ」。うつろいゆくものや、はかないものへの共感を日本人は持っているそうですが、人生こそ「もののあはれ」の最たるものでしょう。そのなかにあって、目に見えない力がお膳立てをして、背中を押してくれるとするならば、人生は、はかなくもあり力強くもある。
未来に何が起きるのか、楽しみになります。 |