tanakamasako
To top pageProfile研究業績研究内容講演ミッションマネジメントEssayお問合わせ
ほろ酔いだっこ2003

 
 この鳩はきっと大好きだった祖母の巻

最近、毎朝、ベランダに鳩がやってきて、その声で目が覚めます。人に慣れているのか、近づいても逃げる様子がありません。不思議なのは、いつも私の部屋に体を向けていて、起きることを確認している感じです。

さらに、この前、ずいぶん落ち込んで帰ってきたときも、ベランダに鳩がいるではありませんか。心なしか様子をうかがっています。目と目があって?、思わず私は話しかけてしまいました。

「今日も来てくれてありがとう。私ね、なんだか自分のことが情けなくって。。カッコ悪いなぁって思う」。すると、鳩はやっぱり逃げるでもなく、私の顔を見ては、首をかしげ、話を聞いてくれているかのようです。

ひとしきり話しかけた後、ある歌を思い出しました。それはアメリカ同時多発テロで亡くなった人々の、家族を慰めるために作られた歌です。一度しか聴いたことはありませんが、

♪私が死んだからといって、悲しまないで。空になって、鳥になって、いつもあなたのそばにいるから。

というような内容でした(「千の風になって」です)。

この鳩は、私の大好きだった祖母かもしれない。だから、元気のないときに、こうしてやってきて、話を聞いてくれるんだ。そう思うと、涙が溢れてきて、大人げもなくエンエンと大声で泣いてしまいました。

ベランダにやってくる小さな命を、そんな目で見つめると、また一つ違った感情が生まれることを教えられます。




                                                   新・ほろ酔いだっこもくじに戻る


無断複写の禁止