川原町今出川を東に入ったところにある、「Bon Bon Cafe」(現、アル・ソーレ)。元銀行だった建物を改造して今やカフェに。ここのオススメは、テラス席。気持ちがいいのは、鴨川に面していて、真正面には大文字が見えるという好ロケーションだから。
お料理は、はっきり言って大味・・・。私は「通」なんだという人には不向きです。でも、味を多少ガマンしても、スカッと晴れた日には、お気に入りの本でももって、無性に出かけたくなる場所です。
静かに流れる鴨川や、亀石で遊ぶ恋人や親子たち。橋を行き交うのは、自転車だったり、通学の学生だったり、市バスだったり。それぞれが、のんびりと穏やかに、はしゃいだり、通り過ぎたりしていく風景は、京都のよさをしみじみと伝えてくれます。
「京のぶぶ漬」に代表されるように、裏表のある京都人気質はよく指摘されるところです。私は生粋の京都っ子ではなく、もともと「そのまんま」の性格ということもあって、「京都人って苦手」と思ったことも、何度かあります。
だけど、私を育ててくれた街。思い出のいっぱい詰まった街。そんな、哀愁とも感謝ともつかぬ想いを、緑豊かな風景が、そっと運んでくれるのです。あぁ、ひとりでここまで来たんじゃないんだなと。
コロナビールに落ちていくライムが、小さな気泡を静かに作り出す。その向こうに広がる静かな川の流れ。
京都出身であってもなくっても、ゆっくりとした時間の流れに身をゆだねたいときに、オススメのスポットです。
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まさこの今 |
神戸での生活が、すっかり快適で日常的なものになり、また、大学院にもあまり行かなくなり、京都は私にとって遠くなりつつあります。
だけど、心が京都めがけて動く瞬間があります。それが、7月16日の祇園祭の宵山と、8月16日の大文字五山の送り火の日。この両日は格別です。
宵山のコンコンチキチンというお囃子や、鉾で売られている縁起物のちまき。赤々と、でも淋しく燃える送り火。鼻緒の痛さや、おんぶしてくれた優しい人。そういうものが思い出されて、言いようのない郷愁を、肌に耳に心に感じるのです。
浴衣を着て、大好きな男性と毎年、その二つに行くこと。ずっとずっと行くこと。それが私の京都への想いを示す、ささやかで遠大な夢なのです。
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