言葉のチカラ
女性のお酒学
朝子は、女の注文すべきお酒は、まず第一に女のお酒、リキュールやワインやキュラソーや甘いカクテルでなければならぬこと、第二に、その日着ている洋服の色に合った色でなければならぬことを父からきつく教えられていた。今日、朝子は淡い葡萄色の洋服を着て共色の靴をはいていた。そこで父親の教育のかいあって、葡萄酒を注文したわけである。
三島由紀夫(1978)『女神』新潮社
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