tanakamasako
To top pageProfile研究業績研究内容講演ミッションマネジメントEssayお問合わせ

 
 言葉のチカラ

自然はうまくできている

「(葉っぱの)病気に冒された部分が、カラカラに乾燥していった。葉っぱがそこだけ水分の補給を絶って、病気を兵糧攻めにしているみたいに見えたな。そのうち、病斑部がぽろりと落ちて、穴があいたというわけだ。それだけではないんだよ。この穴があいてから、葉っぱの横についている小さな葉がどんどん大きくなっていったの。葉っぱを失った分を、補っているわけだ。スケールで測ったんだけど、穴の大きさと葉っぱが大きくなった分が、ほぼ同じであったな。穴がもっとたくさんあいて、それでは補えなくなると、今度は枝の先に新しい葉っぱを出すんだよ。畑に堆肥をやっていた頃は、病気になってもこんな穴は出来ていなかった。この畑には、ぎりぎりの栄養しかないから、リンゴの木が元々持っていた自然の力が引き出されたんだと思うのな。知れば知るほどよ、自然というものはなんとすごいものだと思う」


石川拓治著・NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」製作班監修(2008)
『奇跡のリンゴ−絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』


                                             言葉のチカラもくじに戻る
 

無断複写の禁止