言葉のチカラ
恋はせつない その3
「もう一度一緒にカラオケに行きたかったね。味噌ちゃんぽんも食べてみたかった。それから、パイプも吸ってみたかったわ」
僕は何も言わなかった。
「ね、時々世界のどこから手紙を書いてね」
京子は僕の腕に自分の手を置いて言った。胸が一瞬信じられないくらい熱くなった。
「だけど、きっと会社の同僚のOLか誰かにそれを読んでもらうことになるから、あまり刺激的なことは書かないでね」
そう言うと、彼女は一瞬昔と同じ悪戯っぽい微笑を浮かべた。
デビット・ゾペティ(1997)『いちげんさん』集英社
言葉のチカラもくじ
に戻る