城壁に囲まれた人口1000人に満たない小さな町オビドスは、ポルトガルに行ったなら、ぜひ立ち寄ってほしいスポットです。
団体旅行者も東洋人も見かけない、ガイドブックを見なくても輪郭がつかめる町。白い壁の家、静かな路地裏、その路地裏にある小さなブティックなどなど。時間が止まったような空間に、今ここにいる幸せが静かに満ちてきます。
城壁の上まで上がりました。中世そのままの姿を今にとどめた、レンガ造りの町並み。それは言葉にしがたい美しさです。美しさとか感動には、いろいろな種類がありますね。心が晴れる、勇気をもらう、ふと立ち返るなど、いろいろ。オビドスの美しさは、守られている癒し感とでもいうのでしょうか。
私の祖父母は、それは夫婦仲がよくて、いつも微笑ましく見ることができました。祖父母の家に行くたびに感じたもの、それは言いようのない温かさ。満たされた想い。そこに言葉はいりませんでした。オビドスは、ちょうどそんな感じです。
こんな町には、心が通じ合う人と二人で来て、ただ寄り添いながら、風景を見つめることができれば、もう何も望むことはないような気がします。
名前も知らない教会の鐘が鳴り響いています。人は幸せになるために、この世に生を受けたんだと、鐘の音が教えてくれているようでした。
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