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見果てぬ夢と現実と

 
ゼロの自分を見つめる ボルネオ/東マレーシア

ボルネオ島はアジア最大の熱帯雨林が残る島。ここに行ったからには、珍しい動物と、ご対面をしたいと思い、リバークルージングをすることにしました。

救命胴衣を身につけ、モーターボートに乗り込むと、気分は行け行けドンドン!マングローブに頭をかすめられながら、ボートは水面をすべるように進みます。

テングザルがいるあたりになると、速度を落として様子を見守りますが、そう調子よく現れてくれるわけでもありません。やっと登場したと思っても、枝葉が邪魔をして、アレ?

だけど、名前のよくわからない動物が、不思議ないでたちで登場してくれたり、その動物と目と目があうと、なんだか通じ合うような気分になったりして、なんとも面白いのです。

クライマックスは、鳥の大きな鳴き声とともに沈んでいく夕陽の美しさ。そして、その後には、もう虫や小さな生き物の息遣いしか聞こえないような、静まり返った世界が広がります。徐々に暗くなっていくジャングルは、なんだか魔物が現れそうで、怖い感覚すら出てきます。

自然は一定の確実な摂理のもとに成り立っているんですね。それは神秘的でもあり、恐怖的でもある。と同時に、そこで生きようとする野生の動物に、敬意の念が湧きます。着飾り、見栄を張り、プライドを保つ、そんな浅はかな人間世界のエゴなど、いっさい通用しない凄さ。

海抜ゼロからの視点は、裸の自分を見つめるいい機会になりました。プラスでもなくマイナスでもない、私らしい自然な生きかたを探求したいと、つくづく。だけど、ゼロの私って、どんな私なんだろう。実はそれさえもわかりません。物や欲や期待。思い込みや押し付けられた価値観にあふれた、日常生活が隠してしまう人の本質。

このために生まれたんだ、あなたのために生まれたんだ。そう思える自分を最構築したい。まるで胎内にいるような、静かなさざ波を見つめながら思いました。




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